ポーランドの登山家トマシュ・マズールの呼びかけにより、ロシアとポーランドの合同チームがモンゴル最高峰のフィティン山(4,374m)に挑みました。登頂こそ叶わなかったものの、彼らは「その名の通り『冷たく(Khuiten)』、雪深い、神々しく美しい山だった」と称賛の言葉を残し、帰国の途につきました。
今回の遠征隊には、登山界の歴史に名を刻む驚異的なメンバーが名を連ねています。
1. 「デスゾーン」を滑走する男:ヴィタリー・ラゾ (Vitaly Lazo)
酸素濃度が極めて低く、肉体が崩壊し始める標高8,000m以上の「デスゾーン」。ロシアを代表するスキーアルピニストであるヴィタリーにとって、そこは「遊び場」です。
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Death Zone Freeride プロジェクト: パートナーのアントン・プゴフキンと共に、世界に14座ある8,000m峰すべてに無酸素で登頂し、山頂からスキーで滑降するという壮大な挑戦を続けています。これまでにマナスル、アンナプルナ、ナンガ・パルバットを制覇しました。
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エベレストでのドラマ: 2023年、エベレストの山頂直下(8,845m)からスキー滑降を開始した初のロシア人となりました。下山中に脳浮腫と肺の合併症で意識を失うも、奇跡的な救助により生還した不屈の精神の持ち主です。
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映像作家としての顔: 自らの遠征をドキュメンタリー映画『Kislordod (Oxygen)』シリーズとして発表。山の厳しさと人間の意志の強さを世界に伝えています。
2. ポーランド登山の「ゴッドファーザー」:リシャルト・パヴロフスキ (Ryszard Pawłowski)
ポーランドの登山史を語る上で欠かせない伝説的登山家であり、世界最高峰のガイドです。
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驚異の実績: エベレスト5回登頂、K2(最も困難な北壁ルート)、カンチェンジュンガ、ローツェなど、名だたる8,000m峰を制覇。
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技術の象徴: 技術的に極めて困難とされるアマ・ダブラムには、なんと40回も登頂しています。
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世界を股にかける: アコンカグア36回、デナリ6回など、その経験値は群を抜いています。
3. 火山の王:トマシュ・マズール (Tomasz Mazur)
今回の遠征の発起人。ポーランド人として初めて「世界7大陸の最高峰火山(Volcanic Seven Summits)」をすべて制覇した人物です。南極からアンデス山脈まで、地球上のあらゆる高所火山の頂にその足跡を残しています。
「山は自分自身を知るための場所である」 ヴィタリー・ラゾが語るように、登山は単に頂上を目指すことではなく、恐怖に打ち勝ち、極限状態で正しい判断を下すプロセスそのものです。
彼らのようなプロフェッショナルがモンゴルの山々に魅了された事実は、アルタイ地域の登山ルートが世界基準でいかに魅力的であるかを証明しています。
出典:Yangir Outdoor
